
要点サマリー:まず押さえる3つの軸
- 対象:離職前に雇用保険の被保険者で、就職の意思・能力があり、実際に求職活動を行っている。
- 金額:おおむね離職前の賃金日額×給付率(年齢帯の上限・下限あり)。総額の目安は日額×所定給付日数。
- 期間:受給は離職翌日から原則1年以内。ただし所定給付日数や延長申請により調整あり。
受給要件:もらえる人・もらえない人
次の要件を満たすことが基本です。該当しない場合は別制度(就業不能時の給付や訓練系手当等)を検討します。
- 雇用保険の被保険者であったこと(一般被保険者 等)。
- 就職の意思・能力があること(病気や学業専念など就労できない状態は原則対象外)。
- ハローワークで求職申込み→受給資格決定を完了していること。
- 所定給付日数の基準(年齢・被保険者期間・離職理由)を満たすこと。
初回は待期7日が必要です。自己都合退職の場合は給付制限(原則1か月)が設定される運用に注意しましょう。
離職理由別の考え方:自己都合/会社都合/契約満了
同じ「退職」でも、離職理由によって取り扱いが変わります。会社都合(解雇・倒産等)は所定給付日数が長くなる傾向があり、自己都合は給付制限が入るのが一般的。契約満了は契約内容や更新状況で判断されます。いずれも離職票の記載が重要で、記載に疑義があれば速やかに相談しましょう。
待期・給付制限・認定日の基本
- 待期7日:受給資格決定後の最初の7日間は支給なし。
- 給付制限(自己都合):原則1か月。期間中の扱い・紹介経路の要件に注意。
- 失業認定(4週間ごとが一般的):求職活動実績(相談・セミナー・応募 等)の提示が必要。
- 就労・副業の申告:短時間でも必ず申告。未申告は不支給や返還の原因。
金額の考え方:賃金日額×給付率(上限・下限あり)
基本手当の日額は、おおむね離職前の賃金日額×給付率で算定します。給付率は賃金水準や年齢帯で変動し、毎年見直される上限額・下限額の範囲で決まります。上限が計算結果より低い場合は上限が適用され、下限より低い場合は下限が適用されます。金額の最終確定は認定と支給決定に基づき、月ごと・認定ごとに振込されます。
概算のイメージ:賃金日額が8,000円の人で、年齢帯の上限・下限の範囲内に収まる場合、決まった給付率を掛けて日額が出ます。総受給額は日額×所定給付日数が目安。認定日ごとの実績に応じて分割で支給されます。

所定給付日数と受給期間:スケジュール設計のコア
所定給付日数は、年齢・被保険者期間・離職理由で決まり、目安として90日〜最長300日前後のレンジが一般的。受給期間は原則離職翌日から1年で、この1年の枠の中で認定と支給が進みます。病気・出産等のやむを得ない理由で働けない場合は延長申請により受給期間が伸ばせる場合があります。
- 期限管理の鉄則:受給期間を過ぎると未支給分は消滅。カレンダー管理と早めの手続きが必須。
- 再就職と残日数:早く再就職できた場合は、残日数に応じて再就職手当(一時金)に切り替わる可能性があるため、残日数の把握が重要。
手続きの流れ:離職票から初回支給まで
- 離職票の受領:会社に発行を依頼し、届いたら記載内容を確認。
- 求職申込み・受給資格決定:必要書類を整え、窓口で手続き。
- 待期7日+(自己都合は)給付制限:この期間に履歴書更新、求人検索、セミナー参加で実績を作る。
- 認定日:求職活動実績を申告し、支給決定へ。
在職中から「離職票の段取り」「認定日サイクルの把握」「応募・相談の予定化」を進めておくと、退職後の空白を最小化できます。仕事辞める前の情報収集は、のちの支給遅延や不支給リスクの回避にも有効です。
求職活動実績の作り方:不支給を避ける実践ポイント
- バランス良く:求人検索・応募・職業相談・セミナー受講を組み合わせ、回数だけでなく中身を伴わせる。
- エビデンス保存:応募履歴、面談記録、セミナー受講票などはスクリーンショットや紙で保管。
- 面接と認定日の整合:面接予定を認定日前に寄せて、実績として提示しやすくする。
短時間就労・副業の取り扱い:申告ルールを徹底
短時間のアルバイトや内職でも必ず申告します。就労時間・収入・日数は認定に影響するため、日々のメモと給与明細の保管を習慣化。申告漏れは不支給・返還の原因になり、再就職手当など他の給付にも波及することがあります。
早期再就職との関係:再就職手当・定着手当の基本
再就職が早いほど残日数が多くなり、条件を満たせば再就職手当(一時金)の対象になる可能性があります。一定期間の就労実績が蓄積すると就業促進定着手当が想定されるケースも。関連会社への復帰や受給資格決定前の内定、1年未満の雇用見込みなどは不支給・減額の典型的な要因です。
具体例:ケースで理解する資金計画
例1|30代・自己都合退職:離職票到着→求職申込み→受給資格決定→待期7日+給付制限1か月。この間に職業相談・セミナー参加・応募で実績を確保。初回認定で日額が確定し、支給が始まる。早期就職に成功すれば再就職手当も視野に。
例2|40代・会社都合退職:受給資格決定後に待期7日→迅速に支給へ。所定給付日数が長い場合は、職業訓練や資格取得を計画に組み込みつつ、残日数を確保して再就職→一時金活用という流れが現実的。
FAQ:よくある質問と答え
いくらもらえる?目安は?
基本は賃金日額×一定割合。年齢帯の上限・下限が毎年見直され、最終的な受給額は日額×所定給付日数をベースに、認定結果に応じて振込されます。
いつから、いつまで?
初回は待期7日。自己都合は給付制限(原則1か月)に留意。受給は離職翌日から原則1年の範囲内で実施されます。
退職代行を使って辞めても受給できる?
離職理由の区分、就労可能性、求職活動の要件を満たしていれば、原則として手続き可能です。判断は離職票の記載と認定に基づきます。
パート・短時間労働でも対象?
雇用保険の被保険者であれば対象になり得ます。週の所定労働時間・被保険者期間の基準を確認してください。
引っ越しや住所変更がある場合は?
認定日や管轄が変わる可能性があるため、速やかな変更手続きとスケジュール再確認が重要です。受給期間の1年枠も意識して調整します。
まとめ:計画・実績・期限がカギ(退職を前向きに)
受給要件→金額→期間→手続きの順に道筋を可視化し、認定日ごとの実績と離職翌日から1年という期限を厳守しましょう。仕事辞めたい/会社辞めたいと感じたときは、焦らず準備し、早期の再就職や再就職手当の活用まで見据えた設計を。これが、退職後の生活を安定させる最短ルートです。
