
就業促進定着手当とは?(まず知っておきたい基本)
趣旨は早期再就職の定着支援です。再就職手当(早く就職した時点での一時金)と違い、一定の就労期間を経過後に、所定の計算により差額を調整するイメージ。対象は原則として、雇用保険の被保険者として再就職し、継続就業の要件を満たした人です。運用や上限の水準は毎年見直しが入るため、公開前に最新の案内で最終確認しましょう。
対象と主な受給要件
- 再就職手当の受給者等であること(またはそれに準ずる条件を満たすこと)。
- 雇用保険の被保険者として就職し、一定期間以上の継続就業をしていること(途中離職・出勤不良などは不利)。
- 離職前事業主や密接関連先への再就職ではないこと(資本・人事・取引で密接な関係がある場合は対象外になり得ます)。
- 所定の申請期間内に正しく申請していること(遅延は不支給の典型パターン)。
パート・派遣・有期雇用でも、1年以上の雇用見込みや更新見込みなど、継続性の裏付けが要件に関わります。就職時点で契約形態・更新方針を文書で確認しておくと安全です。
支給額の考え方(計算の枠組み)
支給額は、離職前の賃金水準と再就職後の賃金水準の差、残っていた失業手当の支給残日数、および上限割合などをもとに算定されるのが基本イメージです。多くの場合、次のようなポイントを押さえておけば迷いません。
- 差額調整型:再就職後の賃金が離職前より低い場合にフォローする性格。
- 残日数の影響:離職時点での支給残日数が多いほど、算定上の余地が生まれやすい。
- 上限の存在:制度上の上限割合・上限額が設定され、満額にならないこともある。
なお、毎年の改定で細目が変わる可能性があるため、金額を明記する表や具体例は公開直前の最新要領で上書きしてください。

申請のタイミングと必要書類
申請は所定の就労期間を経過後に行います。多くのケースで、次の証憑を組み合わせて提出します。
- 就労期間を示す資料:賃金台帳・給与明細・出勤簿など。
- 雇用保険資格取得/在籍の証明:雇用保険被保険者資格取得届の控え、在籍証明。
- 賃金水準の確認書類:雇用契約書、労働条件通知書。
- 本人確認・口座情報:身分証、通帳など。
申請期限を超えると不支給になりやすく、やむを得ない事情があっても時効の制約があります。迷ったら早めに窓口で確認し、メモ・写しを保管しておきましょう。
就業促進定着手当と再就職手当の関係
再就職手当は「早く就職できた」ことに対する一時金、就業促進定着手当は「一定期間働き続けた」ことに対する調整金という位置づけです。両者は別の要件・別の申請で、時期・書類・確認ポイントが異なります。再就職手当の支給有無や金額は、定着手当の算定にも間接的に関わるため、経緯を整理してから申請するとスムーズです。
よくある落とし穴(不支給・減額の典型)
- 就労期間不足:必要な在籍期間を満たさず申請してしまう。
- 関連会社への再就職:離職前の事業主と密接な関係がある企業に転職していた。
- 賃金証憑の不備:賃金台帳・明細の欠落で再計算・差戻し。
- 申請期限超過:時効・期限管理のミスで不支給。
- 実態と書類の齟齬:契約上の労働条件と実態が一致せず再確認になる。
ケースで理解する定着設計(例)
例1|給与が少し下がる転職:再就職後の手取りが一時的に下がるが、所定の継続就業を満たせば定着手当により差額が一定程度カバーされ、家計が安定。支給残日数の多さが有利に働く可能性がある。
例2|派遣→正社員化:最初は有期・派遣だが、更新・無期転換の見込みがあり、1年以上の雇用見込みを満たす。雇用契約や労働条件通知書を早期に整備しておくと、申請時の証憑がスムーズ。
FAQ:よくある質問
いつ申請するの?
原則として、所定の継続就業期間を経過した後に申請します。期間の数え方・締め日は地域運用があるため、就職時に人事と勤怠・賃金の締切を合わせて確認しておくと安全です。
いくらもらえる?
差額調整+上限の考え方で決まります。具体的な金額は、離職前・再就職後の賃金水準、支給残日数、上限割合などで変わるため、公開前に最新の案内で試算してください。
パートや短時間勤務でも対象?
雇用保険の被保険者としての再就職で、継続性の要件を満たせば対象になるケースがあります。就業実態と契約書の整合が重要です。
まとめ:再就職の「定着」を制度で後押し
就業促進定着手当は、再就職直後の年収ギャップを緩和し、継続就業をサポートする制度です。支給残日数・賃金水準の差・上限という3要素と、申請期限・証憑の管理を徹底すれば、退職後の生活再構築が現実的になります。仕事辞める前から見込みを把握しておくと、職種・年収の選択も戦略的に行えます。
